松ケ岡公園駐車場に隣接して、江戸末期から明治にかけて生きた歌人で僧侶の天田愚庵のいおりがある▼意外に知られていないが、ここに俳人正岡子規ゆかりの柿の木がある。いおりは、愚庵が晩年に京都・清水寺の近くで暮らしていたころの建物を移築したものだ。その京都時代、愚庵のもとを訪ねてきた1人に俳人の正岡子規がいた▼後に子規が病に伏しているのを知った愚庵は見舞いにと、いおりに実っていた柿を知人に託して子規に贈ったのだった。その柿の木がいおりに植えられており、今年も秋になって実が大きく成長してきた▼が、そこに子規ゆかりの柿の木であることを知らせるものがないのは残念だ。子規が食べた柿を味わってみたいし、ここで俳句大会を開いて柿を賞品にするのもいい。さらには柿を縁に、子規の故郷・愛媛県松山市と交流をもってはどうか(温泉つながりも)とも思った。「御佛に供へあまりの柿十五」(子規)