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片隅抄

2016.02.29

本社発行のフリーペーパー「個処から」では昨年来、植田町の洋画家加藤秀雄氏(82)の水彩画シリーズ「遠ざかりし日々を描いて・戦後70年」を連載中だ。加藤〝少年〟が体験した戦争―竹やり訓練や空襲警報、玉音放送、そして進駐軍など―の様子を述懐とともに紹介している▼その制作の様子を、いわき市公式動画チャンネルiTubeで見ることができた。子息秀樹さんが父の姿を撮影し「僕たちの世代」と題した作品にして、市制50周年に向けたいわきの「いいね!」動画コンテストに応募したのだ▼動画には、津波被災地の様子も出てきた。父が体験した戦争に自分が体験した震災を重ね「戦災と震災、そして故郷。戦後の復興を担ったのが父の世代、震災後の故郷の復興を担うのは僕たちの世代」と語る秀樹さん▼この言葉から「父のつらい体験を糧にこそすれ無駄にはしたくない」という秀樹さんの強い思いが感じとれた。3月を前に、われもまた同じ思いである。

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