昨夜、市文化センターで開かれた「市長選立候補予定者公開討論会」。FMいわきでも生放送され、聴視された人も多かったろう。訥弁、雄弁、能弁。三者三様、自身の考えを述べた▼会場に足を運んだが、支持者を前にした演説会とは様相も異なり、他陣営を交えた雰囲気は一種の緊張感がみなぎっていた。折り込みチラシに見る、政策とはかけ離れた文言の羅列などに水面下での激戦が脳裏をよぎった▼1人が施策の名前を違う言葉で発言。さっそく、もう1人が訂正。次に数字が出る。これもまた、やんわりと否定。最後はやや劣勢になった候補者が気色ばみ反論する光景もあった。もちろん、民放の深夜討論番組ではない。発言者、来場者ともに最低限の節度を守っていた▼かつて首相を務めた故大平正芳氏。仮に討論の場にいたら、気の利いた話もパフォーマンスもなかったろう。だが、ゆるぎない政治信念に基づき、その理念を披歴したであろう。
片隅抄