漁獲量が制限されているクロマグロだけではない。世界の水産資源は急速に枯渇の方向に向かっていて、水産物の4分の3以上が、枯渇から漁獲維持できるかどうかの瀬戸際にあるという▼世界的な魚食ブームや新興国の経済成長による消費拡大に加え、乱獲、海洋汚染、海洋環境の悪化が起因するとされるが、わが国は1人当たりの消費量、金額ベースでの輸入量が世界一であることを忘れてはならない▼魚は不足したからといって増産できるものではなく、生息できる限界量もある。恩恵に浴し続けるには限界量を見極め、持続可能な漁業への水産資源保全対策が不可欠だし、地場の魚を取り入れるなど、消費者自身が変わることも必要だ▼10年がかりで行われた海洋生物調査の国際プロジェクトが、10月に完了するそうだ。そこで集められた膨大なデータから海洋生物の生態系が把握され、何を保全すべきかも明確になるはずだ。大きな動きになることを期待している。
片隅抄