いわき市泉ケ丘に住み、8日に亡くなった漫談家ケーシー高峰さん。各方面からその死を悼む声が多く聞かれる。医師の家系に生まれたこともあり、芸風は医事ネタに少しのお色気を交ぜ、笑いをとった▼支社勤務の頃、JR泉駅ホームで上り特急を待つ姿、スーパーでの買い物、施設内フードコーナーで食事をするケーシーさんをたまに見かけた。有名人ながら気さくな人柄で「おいしかったよ」と声をかけ、静かに去って行った▼俳優としても存在感を示した。かつて放送された向田邦子新春スペシャル「夜中の薔薇」でのシリアスな演技が印象に残る。いしだあゆみさん扮する女学校教師と恋愛沙汰の末、心中する農夫を演じ、何もかも捨て熱情を傾ける役柄に別の面を見た▼本市では選挙応援もしたが、こちらが聞く限り相手の悪口は一切言わず、最後は笑いで締めた。昨今の若い芸人が他人を罵倒するのとは違い、話芸で魅了する芸を兼ね備えた人だった。