女優八千草薫さん死去の報に接し、あるテレビドラマを思い出した。昭和52年、TBSで放送された山田太一さん原作「岸辺のアルバム」がそれだ▼個人的に興味があり、未見の番組などはできる限り手を尽くし鑑賞するのだが、この作品だけはDVD化がされていない。内容は当時としては生々しい。夫役の杉浦直樹さんと妻役の八千草さんに娘、息子が秘密を隠し持っている▼まず自宅にかかってきた電話から、背徳に走る妻。その事実を偶然知ってしまう息子。その4人がそれぞれの傷をさらし合い、家庭崩壊寸前にまでなる。そこに昭和49年、実際に起きた多摩川水害をからめ、物語は終わりに近づく▼当時の映像で見た多摩川決壊での家屋流出は記憶にあるが、被害をもたらした台風19号、豪雨災害をドラマに関連付けるつもりはない。ただ家が流される直前に持ち出したのが、家族のアルバムとは考えさせられる。本市被災地区にもさまざまな事実がある。