酒の「肴(さかな)」は、美味(おい「)しい料理だけとは限らない。その席での楽しい会話は、時に料理を上回ることがある。先日の酒宴がそうだった▼「昭和にあって、令和にないもの」そんなテーマで会話が進んだ。酒の勢いも手伝ってか、駅の伝言板から黒電話、2層式の洗濯機など、さまざまな意見が出た。そんな中、注目が集まったのが「地図」だった▼家に、車の中にある?から始まったその議論、もちろんその答えは、「ノー」だった。かつては、ドライブには欠かせない存在だった地図も、今やカーナビの普及でその役目を終えた感がある▼確かに便利になった。知らないところへも難なくナビが案内してくれる。ただそれでいいのかという疑問も残る。地図は見るのではなく、「読む」もの。つまり、考えることが要求される。便利なだけでは決して人間は成長しない。そこには想像力も生まれない。人間にとって大事なものは、知識ではない。そこに至るまでの思考力と想像力だろう。