先日、NHK・BSプレミアムで「居酒屋兆治」が放送された。東京・国立市を舞台に実在の人物を主人公にした山口瞳さんの同名小説でこれまで映画、テレビ化されている▼居酒屋の主人は高倉健、渡辺健さん、今回は遠藤憲一さんが務めたが奇しくも3人とも「KENさん」である。新型コロナウイルス感染拡大防止により、訪れる店が営業自粛などでつまらない日が続く中、手持ちの同作品3本を改めて鑑賞した▼この中で特異なキャラクターが存在する。前作テレビ版では、主人公に何かと因縁をつける常連客を川谷拓三さんが演じていた。確認すると、殴る蹴るの演技が実に光っていた▼この3作品に刺激されてか、先日しばらく足の遠のいていた焼き鳥屋さんを訪れた。久しぶりに会った店主、聞けば昨年大病を患ったという。ゆっくり酒を飲みながら、その時々の思い出話をするうちに、故人となられた方々の顔が1人2 人と脳裏に浮かび、少しつらくなった。