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片隅抄

2020.6.27

昭和36年6月1日、平駅ホームで当時の皇太子さま、美智子さまに小川小戸渡分校の子どもたちが2年前、皇居に贈った“ヤマユリ”の縁でお会いできる機会があった▼緊張する子どもたちに美しい笑顔でお礼を述べられた美智子さま。皇太子さまはひとりの女の子の頭を優しくなでられた。その子は学校文集「やどり木」にそのときの感動をつづった▼後にそれを目にした皇居と分校の“橋渡し役”木下道雄元侍従次長が歌に詠んだ。女の子の気持ちを三十一文字に凝縮した歌は「おゝみこ(皇太子さま)のみて(御手)のゝこり香(残り香)なつかしみわが黒髪はいまにあらわす(洗わず)」。女の子は長じて理容店主のもとへ嫁ぎ、今も夫と現役で整髪を続けている▼26日、分校の校舎に入る機会があった。閉校から17年。教室には今も皇室との縁を物語る貴重な資料が残っている。このまま放置してていいのかな。せめて地元の心平記念文学館で保管しておこうよ。

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