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片隅抄

2011.03.07

今春門出する新社会人へ、文庫本を1冊。小説『ALWAYS三丁目の夕日』で知られる山本甲士の『迷わず働け』だ▼内容は、無職の青年が、内定した会社に嫌気を感じている友人に代わり、そこで働くというもの。お荷物扱いだった新入社員が、大仕事をものにしていく過程が面白く「仕事はやってみなきゃわからない」と思わせてくれる▼中でポイントといえるのが、敬愛するミュージシャンの歌。事あらば彼は、その歌詞を「啓示」ととらえ、それに沿って行動する。ここで思い出したのが、中学時代の教科書にあった『一切れのパン』だ▼第2次大戦中の逃避行中に、行きずりの人にもらったハンカチ包みのパン(実は木切れ)を支えに、無事帰宅できたという話だが、パンを手渡す時の「パンを1切れ持っていると思うと、ずっと我慢強くなれるものです」の言葉が忘れられない。何でもいい。人は1つ信じられるものがあれば「迷わず働ける」と思うのである。

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