コロナ禍の中、大型連休が終わった。この影響がなければ、いわき市内各地の神社では例大祭が行われ、勇壮な神輿渡御が見られたはずだった。2年続けての中止はさびしいものだ▼最近、四倉町での取材が多い。その一つに諏訪神社がある。鯉のぼりならぬ「かつおのぼり」掲揚、過去の写真で振り返る「例大祭回顧展」など。石段を登り境内から景色を眺めると太平洋が眼前に広がり、海と町の近さをあらためて知った▼この距離なら、東日本大震災の津波被害も大きかったはずである。神社近くに住む知人の家も海水にやられたとの話にうなずけた。同じく四倉町の話になるが、先月末に叙勲内定者の取材を行った。長らく区長を務め、地域のために力を尽くした男性だった▼お元気な様子がうかがえたのだが、会って4日後、突然の訃報が届いた。「妻の手助けがあってこそ。まちのために尽くすのは当然のことです」と謙虚に話された姿が忘れられない。
片隅抄