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片隅抄

2021.07.15

今から50年前の話。小学2年になる直前の2月、「火事だ、逃げなさい」と叩き起こされた。訳もわからぬまま、おそらく両親の知り合いの家なのだろう、近隣のその人の家に避難した▼隣家からの延焼で我が家は全焼し、家も、生活も全て奪い取られた。逃げる途中のサイレンの音、舞い上がる火の粉、鎮火後の焼け焦げた匂いは今でも忘れられない▼そしてまもなく、同地にいわき民報ビルが建つことになる。金融機関も含め関係各位の絶大なる協力、支援によりビルの竣工が早まったと聞いている。そんな愛着のあるビルから再開発に協力する形で本社機能を移転し、1カ月が経とうとしている▼残されたビルでは連日、解体に向けた作業が続いている。その光景を見たのだろう。先日、知人から「結婚式を挙げた思い出の場所なんだ」と解体を惜しむメールをいただいた。先月はビルをバックに社員と写真も撮った。いよいよ来月から解体が始まり、再開発が始動する。

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