昨夜、平の街なかにスピーカーから発せられる女性の声が響いた。最初はよく聞き取れなかったが、こちらに近づくにつれて分かってきた。「皆様には大変ご迷惑をおかけしております…」。見るとある名前を掲げた選挙カーだった▼富岡町長選の立候補者である。15日告示・25日投票の任期満了に伴うもので無所属新人2人が立つ。震災後、いわき市に避難している「飛び地」状態の有権者に呼びかけたのだろう。もっとも、この周辺は住民よりも同町出身などの自営者が多い▼さて、現在まで現職、新人の合わせて4人が立候補を予定するいわき市長選。出馬表明から事務所開きと、そのたび各陣営に足を運んだ。世代的に大きな開きはないが政・経・官とキャリアが異なる▼本来なら戦うことなく彼らの知見を集積すれば、と思うのだが選挙は非情でノーサイドとはならない。市政継続か刷新かを選択するのは、有権者の1票にかかる。無駄にしてはいけない。
片隅抄