地震後の3週間ほどを避難所で暮らした。そこでは毎朝6時前後に皆が起き出し、何人かが自主的に朝食の準備を始める。食後もまた自然に皆がそれぞれ、床やトイレの掃除、ごみ出しなどを始める▼夕方もそうだ。女性が夕食の炊き出し、男性はその運搬と、とにかくすべてが被災者同士の協力で成り立ち、節度ある集団生活を繰り広げている。被災者は心得ているのだ。こうした秩序や冷静さを保つことが、とにかく今できる1番大切なことだということを▼他方、津波被害のあった沿岸部には「被災地を一度見てみたい」という来訪者も多い。現場を確かめたいという考えを否定はしない。しかし、不用意に罹災家屋や作業中の姿を撮影され不快な思いをしたという声も聞く▼今「頑張ろう」と一緒によく耳にするのが「自分にできることは何か」という問いかけだ。復旧・復興に向けこれを考えることが、現場を見た人、被災者すべてにとって最も必要なことだろう。