海底火山の噴火で噴出した大量の軽石が問題になっている。これは他人事ではなく、黒潮に乗って関東沿岸から北上し、いわき沖まで漂流して来ないとも限らない▼繰り返しになるが、いわきには歴史や文学、民俗学といった文化施設がいくつもあるのに海洋科学に属するアクアマリンふくしまを除けば、科学的な公的施設が1つもない▼今や宇宙飛行士だけでなく一般人が宇宙へ行ける時代だ。地球温暖化は深刻の度合いを増しているし、かつての石炭→石油のような大きなエネルギーの転換期にある。地震や風水害も規模が大きくなっている。市立博物館、市立科学館――子どもたちに冷静で的確な〝科学の目〟を養ってもらう専門の科学施設がそろそろ必要ではないか▼いまそんな施設があれば、軽石の問題のほか、新型コロナや大雨、大地震、原発からの汚染処理水の処理、新しいエネルギーといった課題を、専門家がわかりやすく子どもたちに教えることができる。
片隅抄