先月開通したばかりの国道399号十文字トンネルを見に車を走らせた▼平から詩人草野心平の故郷・小川町を過ぎ、399号で阿武隈高地を北上して心平の第二の故郷・双葉郡川内村方面へ向かう。その間の新しいルートは高速道路並みにカーブが少ない、まるで天空のやまなみ〝ハイウエー〟だ▼昭和だったころ、小川町から川内村へ抜ける399号は、車が交差できない狭い道幅、未舗装、急こう配、急カーブの連続。国道ならぬ〝酷道〟を実際に車で走ったことのある身にはまるで別世界だ▼十文字トンネルは2875㍍の市内最長トンネルだが、その間ほぼ直線というのが驚かされる。トンネルを抜けると旧小川小・中戸渡(ヤマユリ)分校がある。ヤマユリと皇室とのかかわりは忘れ去られても、いわき市と川内村を結ぶ交流の拠点施設として新たな命を吹き込めないかと思う。心平にちなんで蛙ロードと呼ぶのは安直だが、生まれ変わった399号を生かしたい。