東京電力の小早川智明社長は6日、市役所で内田市長と懇談した。今春にも控える原発処理水の海洋放出を巡っては、風評被害が生じないよう丁寧な情報発信に努めると強調し、福島第一原発事故に伴う国の賠償基準「中間指針」が見直され、新たに拡充された第5次追補に対しては、1月中に東電から具体的な内容を提示すると語った。
内田市長は海洋放出に向けて、「大変時間が迫っている中で、関係者の理解なしにいかなる処分も行わないとの約束がある」とし、現時点では理解醸成には至っていないと指摘。賠償については個別の事情にも配慮するよう求めた。
小早川社長の市役所訪問は関係自治体への年始あいさつで、小野明・福島第一廃炉推進カンパニー最高責任者と、高原一嘉・福島復興本社代表が同席した。
懇談後には報道各社の取材に応じ、小早川社長は海洋放出のスケジュールに関して、「今年の春ごろとの目標は変えることなく、しっかりと取り組んでいく」と述べた。放出口の設置に遅れがあり、今夏以降にずれ込む可能性が一部で言及されていた。気象・海象条件に左右される部分も、工程を適宜入れかえるなど工夫していくという。
国や東電の「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」との点は、情報の正確性とともに分かりやすさを通じて、理解につなげると明言。関係者の立場ごとに、抱いている懸念に寄り添うことで、地道に理解を積み重ねていくとした。
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