今年1月下旬の身も凍る寒波が嘘のように春が駆け足で訪れた。すでに桜は花弁を散らし、社の窓から見える景色は若葉を伸ばす緑色が目立ってきた▼季節が一巡したところで、ちょうど1年前の本紙をめくってみた。いわき市内の新型コロナウイルス新規陽性者は、6日判明7日発表分で145人・7664例目となり、市は第7波到来と判断。市民に3回目のワクチン接種を呼び掛けている▼翻って6日判明きょう7日発表分は12人と昨年同日比8%台までに落ち着いた。この間、マスク着用はもちろんのこと、「3密」回避や飲食店などが打撃を受けた、まん延防止重点措置など、さまざまな制約下の中で日常生活を送ってきた▼特に多くの生徒、学生さんらは勉学、行事に不自由な思いをしただろう。特に多感な10代は抑圧された時間の中で、何を得たろうかと気になるが「何かを失えば、何かを手に入れる。これは必定」と、作家開高健の言葉を思い出した。