田人町旅人の宿泊施設「田人おふくろの宿」の運営主体が、来年度から新しくなる方針が固まった。現在の「田人おふくろの宿企業組合」は慢性的な赤字を抱えており、関係者の高齢化や新型コロナウイルスの影響などから、来年3月をもって解散することが了承された。市は30日まで、民間活力を導入した事業に進展させることを目的に、サウンディング型市場調査を実施しており、施設の活性化に向け、管理運営の意見や新たな提案を求めている。
「かつてはマイクロバスで、市内や茨城県から多くのお客さんが来たこともあって、宴会場の大広間もカラオケでにぎわった」。田人おふくろの宿企業組合理事長の小沢重好さん(75)は、往時について振り返る。
おふくろの宿は1992(平成4)年、首都圏との交流拠点や、地域住民の憩いの場所として整備された。木造2階建ての宿泊施設をメインに、バーベキューハウスやテニスコート、体育館も完備する。
ただ2011年の東日本大震災・東京電力福島第一原発事故前と比べると、宿泊客は半分を下回る。追い打ちをかけるように、19(令和元)年の東日本台風では、施設に向かう国道289号で大規模な土砂崩れが生じたほか、翌20年から、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった。
2008年から同企業組合で、運営を担ってきたが、もともと地元の代表で構成されており、高齢者が多い現状から「これ以上の負担は難しい」と判断。指定管理者を継続しないと決めた。
小沢さんは「いままでの思いを理解する方に受け継いでもらえれば」と話す。従業員は15人在籍しているが、希望する人に関しては雇用の継続も期待する。
ニュース