大型船によるサンマ漁が20日から解禁となるのに合わせ、小名浜港から17日、6隻の福島船団が出港し、集結先となる北海道に向かう。全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)によると、昨年の小名浜港の水揚げ量は108トンで、過去最低だった一昨年の17トンからは回復したが、東日本大震災前の2010(平成22)年の4117トンと比較すると、わずか2・6%に過ぎない。小名浜港では北海道行きの準備が進んでいるが、果たして今年も秋の味覚は、高嶺の花となってしまうのか。
サンマは全国的に記録的な不漁が続く。全さんまの統計では、昨年の国内全体の漁獲量は1万7910トンで、4年連続で過去最低を更新した。不漁の原因について、国立研究開発法人水産研究・教育機構が、4月にまとめた調査結果によると、地球温暖化を背景にして、2010年に突然起きた「分布の沖合化」が挙げられる。
南下する寒流の親潮が弱くなり、北海道東・三陸沖の水温が上昇したことで、サンマがエサの条件が良くない東の沖合に移動し、成熟に悪影響を与えているとされる。さらに日本近海では、マグロやカツオなどの浮き魚類が増えており、サンマが回遊しにくい状況が生まれていると指摘する。
ただ悪い話題ばかりではない。全さんま副組合長で、多七商店社長の加沢喜一郎さん(62)=江名=は「外国船が6月から公海で漁獲しており、昨年の3倍という話が寄せられている」と語る。
対ロシアも好転した。昨年はウクライナ侵攻によって、不測の事態を避けるため、ロシアが主張する排他的経済水域(EEZ)での操業を控え、公海を目指す際も遠回りを余儀なくされた。しかし今年は2年ぶりに、ロシアが主張するEEZでも実施する見込みで、燃料費高騰に少しでも抑えが効く。
加沢さんによると、小名浜港での水揚げは漁場の南下に伴い、早ければ10月ごろの見通し。11月から12月にかけて最盛期を迎えるとし、「福島船団が頑張って小名浜港に水揚げするので、皆さんも期待して待っていてほしい」と話している。
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