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泉小 37年にわたり図書券・カードが匿名で届く 善意に応え書籍購入
泉小(沢田泰弘校長)には、1986(昭和61)年6月から月1回、欠かさず2500円分の図書券が、いまは図書カードが届いている。送り主は匿名のため分かっておらず、あて名に「泉小学校校長様」と書かれているのみ。同校ではこの善意に応えようと、定期的に学校図書を購入している。今回は2008(平成20)年以来、約10万円分の41冊の書籍が準備され、18日に図書委員会の子どもたちに手渡された。
「37年間も続けていただき、本当に感謝の言葉しかない」。沢田校長は引き継ぎ分も含めて、力強い筆文字で示された封筒の束を手に、感慨深い表情で謝意を伝える。封筒の消印はいわき郵便局やいわき泉郵便局に加え、郡山市の場合もあるため、同校との縁や、送り主がどこに住んでいるかも不明だ。図書券・カードは累計で100万円を超える。
同校では「あしなが文庫」と銘打ち、図書室の一角にこれまでの本を並べている。ただ意外にも子どもたちはその由来を分かっていないといい、今回の購入をきっかけとして、改めて児童に知ってほしいと話す。
公立小・中では学校図書の予算は決まっているため、沢田校長は「この方の善意によって、多くの子どもたちが、本に親しむ機会につながる」とも語る。新たに用意された書籍は、司書教諭と学校司書の2人によって選定された。
図書室で本のお披露目が行われ、沢田校長から図書委員にあしなが文庫の歴史が説明されると、委員の子どもたちからは次々と喜びの声が上がった。今野百花さん(6年)は「私も詳しい話を知らなかった。今回の本も大切にしながら、友だちと読み進めたい」と笑顔を見せた。