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いわきからまた名物店の灯消える 平・モンテヴィデオ 1日で50年の歴史に幕

 いわき市から、また一つ名物店の灯が消える。市内でも唯一といえる中南米音楽の店「MONTEVIDEO(モンテヴィデオ)」が6月1日をもって閉店する。
 店主の薄葉洵子さん(81)が1974(昭和49)年4月10日、現在地の平字新川町にオープン。50年にわたり、ラテンの香り漂う心地よい空間を提供してきただけに、多くの常連客らから惜しむ声があがっている。
 エプロン姿で接客に当たり、「ジュンコママ」と親しまれてきた薄葉さん。「今まで、ほんとに楽しかった」と幾多の思い出を振り返りながら、歴史の幕を閉じる。
 国道6号の交差点近くに所在し、オレンジ色の看板が目を引く。店名はウルグアイの首都から取った。店内はカウンター、テーブル2台で10人も入ると満席。やや低い天井とほの暗いライトに照らされた一角にはうず高く積まれたCD、LPレコードが目に留まる。
 ここに集い、至福の時間を過ごした人たちは数知れない。「時代とともに客層も変わったわ。亡くなったおなじみさんも多いし、新型コロナで客足も落ち気味だった。この辺が潮時かな」と閉店理由を話すが、持ち前の明るさが湿っぽさを感じさせない。
 薄葉さんは平中平窪生まれ。湯本高を卒業後、平の民間会社に勤務した。その頃、よく通った喫茶店「丘」で流れていた中南米音楽に魅せられ、「いつでも好きなラテン音楽を聞いていたい」と一念発起し、知人が開いていた喫茶店で1年間修行し、準備を進めた。
 店舗は、家主が知り合いなどの偶然が重なり、現在地の空き家物件に決め、開店にこぎつけた。31歳の新たな世界への一歩だった。同好の士などが足を運ぶにつれて、薄葉さんの中南米音楽への熱は高まっていった。
 50年の歴史を刻み、飲食業界での知己も多い。そのひとりに、オープン当初から店に通っていた、バー・クイーン店主の加藤功さん(66)=平=がいる。「高校生の頃から通ってた。自分がバーとライブを兼ねた店を開いた時、とてもお世話になった」
 閉店前の27日夜、同店を訪れてみた。ドアを開けるとカウンターは常連客で埋まっていた。CD、LPレコードの引き取り先は一部を除き未定という。「もういらないわ」。もったいないと思ったが、サバサバした薄葉さんらしい。
 (写真:これまでを振り返る薄葉さん)

PR:いわき市北部地域を中心に、児童養護施設、老人保健施設、特別養護老人ホーム、ケアハウスをはじめ、診療所とデイケア、デイサービス、居宅介護支援、訪問介護、訪問リハビリと多種多様な福祉、医療事業を展開。

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