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中面連載コーナー

『古本食堂』

著 者:原田 ひ香
出版社:角川春樹事務所
価 格:814円(税込み)

神保町界隈を舞台に本と食と人の温かい交流描く

 北海道で親の介護の後、1人暮らしをしていた鷹島珊瑚は、兄・滋郎の逝去により、彼が経営していた神保町の「鷹島古書店」とテナントビルを相続。珊瑚の大姪である美希喜がアルバイトとして店を手伝うことになる。
 生前ちょっとした有名古書店主として知られた兄の店には、同じビルの2・3階を貸している出版社の社長や社員、作家志望の青年、近所の古書店の店主など様々な人が訪れてくる。さらに、色々な悩みを抱えた客も来店し、珊瑚と美希喜は、その都度「これ」と思う本を棚から抜き出しては差し出すのだ。
 例えば、料理が苦手な女性には小林カツ代の「お弁当づくりハッと驚く秘訣集」、高校生との関係に悩む男性には「十七歳の地図」を。一見すると客の意表を突くような選書だが、それは彼らの視野を広げ、そっと背中を押してくれるものばかり。作中に登場する神保町界隈の美味しそうなグルメも店に集まる人々の人生模様に色を添えている。
 話に出てくる本はすべて実際に出版されており、絶版になってしまっている本もあれば今でも手に入る本もある。気になった本を探して読んでみるのも楽しいのでは。
 (鹿島ブックセンター勤務)

※紹介する人:池田 理紗さん

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