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聖雲書道会 田久前会長(元県書道協会長)の遺作展 13日まで・暮らしの伝承郷
書写・書道研究の聖雲書道会(髙久香扇会長)の前会長で、県書道協会長を務め上げるなど、いわき市を中心に本県の書道文化の伝承と後進の育成に尽力してきた田久芳涯=本名・弘一=さんが2022(令和4)年10月に70歳で逝去し、三回忌を迎えるのに合わせ、田久さんの志を受け継いだ教え子らの発表の場を兼ねた遺作展が10日、市暮らしの伝承郷で始まった。
13日まで。市、市教委、県美術家連盟、市文化協会、いわき民報社などの後援。
田久さんは小川町に生まれ、磐城高、東京理科大卒後、大手文具メーカー勤務を経て帰郷。書道家の父・田久奇峰さんが創設した聖雲書道会に協力しながら昭和50年代半ばから本格的に活動を開始し、日展で初入選を果たした。
今展では、「群青の濃い松葉をさうさうと鳴らすは風か」で始まるその初入選作、北原白秋の詩をはじめ、最後の遺作となった北宋の詩人林逋(りんほ)の句「碧澗流紅葉」まで、26作品を展示。6本の掛け軸で壁一面を埋める、釈迦牟尼を題材とした土肥晩翠の詩、竹、梅を描いた水墨画、在りし日の活躍を記録した写真などもあり、訪れた会員、関係者らは田久さんと言葉を交わした日々を思い起こし、感慨深げな表情で作品群を眺めていた。
また会場には書道研究書聖会の佐川峰章会長の賛助出品、会員82人が寄せた色紙作も。遺作展に合わせて作品集も作成し、髙久会長は「古典の学び方、筆使いなどを真剣な表情で伝える姿が印象に残っている」と思い出を振り返りながら、書道界の発展に尽力した田久さんの軌跡を1人でも多くに見てほしい、と来場を呼び掛けていた。
入場無料。開催時間は午前9時~午後4時半(13日は同3時まで)。
(写真:会場に並ぶ作品の数々)