ニュース
いわき市水道局の入札疑惑 第三者委「ちょっと不自然」 法令遵守の問題も浮上
平下平窪の配水管改良工事を巡り、誤った設計単価で入札が行われながら、最低制限価格と一致していた件で、第三者による調査確認委員会(委員長=緑川猛彦・福島高専都市システム工学科教授)は25日、市水道局に報告書を提出した。
緑川委員長は提出後、同局会議室で記者会見し、内容について説明した。問題となった平下平窪の工事については「まったくの白ではないと考える。ちょっと不自然だった」と述べた一方で、ソフトの精密さから最低制限価格と同額で入札することは可能とする考えを示した。職務代理者の磯﨑泰三弁護士、山田誠・市水道事業管理者が同席した。
第三者による調査確認委員会は3月に発足。報告書では入札に関係した事業者19者のうち、18者が回答したアンケートの結果が公開され、いずれも他の事業者と談合はしていないと明らかにした。ただ4者が平下平窪の工事での情報漏洩を巡る回答を寄せた。聞き取り調査の結果、「うわさとして聞いたことがある」などの話にとどまり、具体的に明確な事実としては判断できなかった。
また昨年度と本年度に市水道局に在籍する190人のうち、156人から回答が得られたアンケートも明かされた。うち2割超の37人が事業者などから、不正行為につながるような入札情報の問い合わせ・要求を受けたことが分かった。しかし、いずれも最近の事例ではないといい、平下平窪の工事には該当しなかった。
アンケートからは、そもそも情報漏洩が懲戒処分に該当することを認識していない職員が1人いたほか、38人が官製談合防止法の趣旨を、42人が入札談合等関与行為防止法の趣旨を知らず、法令遵守(コンプライアンス)の問題点が浮き彫りとなった。山田管理者によると、すでに職員向けの研修を行ったという。
市水道局では一連の問題を受け、関係資料を県警に提出している。このため緑川委員長は、アンケートの設問に関しては答えられないと繰り返し、第三者による調査確認委員会としてはあいまいな説明に終始した。
報告書を受け、市水道局では機密状況の管理や、担当する職員の働き方、各種マニュアルの周知を検討するほか、市全体で入札のあり方を議論していく。
(写真:報告書の内容について説明する緑川委員長=中央)