市内の中学、高校生が医療機関を訪れ、現場を理解する「職場体験」が最近多い。取材の際、参加動機を聞くとその道に進みたいという。いわき市の課題である医師不足解消のためにも、若い諸君の志に期待したい▼特に足を運ぶのが、開院から７年が経つ市医療センター。充実した設備は言うまでもないが、かつての旧市立総合磐城共立病院のように紹介無しでの受診は簡単ではない。にもかかわらず来院者の姿は絶えない▼院内を巡るうち、テレビドラマ『白い巨塔』のオープニングを思い出すことがある。「財前教授の総回診が始まります」とのアナウンスが流れると田宮二郎扮する国立大学病院の財前五郎教授が部下を従え、入院患者を見て回る▼受け持ち医が意見するなど、とんでもない。この状況がやがて誤診がらみの裁判沙汰になっていく。高度な専門知識を有する医師の前には、こちらも委縮気味になる。その微妙な感覚が何とか縮まると良いのだが。
