ドイツの作曲家リヒャルト・シュトラウスは、少年時代に登山した体験を基に「アルプス交響曲」を手がけた。アルプスの日の出前から夜までを描いており、牧歌的な雰囲気や嵐に襲われる様子など、さまざまな『山の顔』が伝わってくる▼日本にもこうした山の時間経過を表現した楽曲があると知った。吉松隆さん作曲の「FUGAKU 霊峰富士によせる七つの響景」だ。尺八と、通常よりも絃の数が多い二十絃箏のために書かれた協奏曲で、いわきアリオスで仙台フィルハーモニー管弦楽団によるニューイヤーコンサートで披露された▼富士山の夕暮れから日の出までの景色が繰り広げられ、その幽玄さに思いがけず心を奪われた。プログラムノートによると、生演奏は貴重といい、新年から望外の喜びを得た▼良質な芸術を提供する場として、いわきアリオスは市民にとって不可欠とあらためて感じた。間もなく来年度の予算が示されるが、市の心意気に期待する。