老朽化により取り壊す方向で進んでいた文化遺産の保存活動を取材した際、住民の温度差に酷く驚いた。積極的に動いたのは60代の『若手』とそれを惜しむ域外の市民。経験も人脈も豊富な長老たちは無関心を装い、ついに手を差し伸べなかった▼豊かな自然に魅力を感じ集落に移り住んだ若者が、地元の友人に「根回しを間違うと生きていけない」との忠告を受けた。移住者は地域を巻き込んだ新たな試みに挑む。当然ながら慎重に行動したが、本番直前、集落の有力者から遠回しに批判を受けた▼地区にはしきたりがあり、根回しが足りないとのこと。両者の言い分を聞いたが、誤解がありつつも筋道は通しており、客観的に見てもなぜ声を荒げるのか理解できなかった▼中山間地域では少子高齢化が急激に進み限界集落が増している。郷に入りては郷に従えの精神は尊ぶべきだが、時代に即したものか、冷静に見つめ直すことも必要だ。誰もいなくなってからでは遅い。