紺色のブレザーに赤いネクタイ……と言っても、どこぞのお騒がせ大統領ではない▼なぜなら、ネクタイにはラグビー大国「ウエールズ」のエンブレムが刺繍してあったからだ。そのブレザー姿の男、山口良治氏を最初で最後に見たのは大阪の近鉄花園ラグビー場。高校ラグビーの取材で聖地を訪れたときだった▼伝説で彩られた泣き虫先生の面影はなく、選手を率いる素の教師・監督の山口氏がそこにいた。学校統合で京都工学院と校名は変わったが、この人にはやはり「伏見工業」の名がふさわしい。氏へのインタビューや教え子たちの証言などを聞くと、どうやらドラマの脚色は満更でもないようだ▼その教えに従った選手たちは後に日本代表に、会社社長に、あるいは高校教師、ラグビー指導者になった。いわきにも氏の講演を聴き、その指導力に心酔する教師がいた。「信は力なり」という色紙を手にうれしそうに氏を語る姿を思い出した。熱血の教育者に、合掌。