「ブラタモリ」のある回で、訪れた先の古民家に蚊帳が吊ってあるのを、80歳になるタモリさんはとても懐かしがっていた。ちなみに同行の若いアナウンサーは蚊帳の恩恵を知らない▼実際に蚊帳を吊って寝た経験のある人は60歳ないし65歳以上か。思い出の蚊帳は萌黄色。眠りを誘うあの癒やしの匂いは何だったのだろう。タモリさんもこだわっていたが、蚊が侵入しないよう素早くめくって入るのがコツだった▼市暮らしの伝承郷では今、恒例の年中行事「蚊帳吊り」を実施していて、お昼寝もできるという。単なるお飾り、サンプルでない▼前にも書いたが、子どもたちの夏休み、伝承郷の古民家で1泊体験をできまいか。竈(かまど)でご飯を炊く。囲炉裏で魚を焼く。薪(まき)割りをして五右衛門風呂に入る。畑からみそ汁の具の野菜をとってくる。水洗ではないポットン便所は……。たとえ1泊2日でも、スマホやゲームがない時代の生活から何かを感じ取ってくれたらと思う。