3期にわたり、いわき商工会議所会頭を務めた有賀敬四郎さん。最後にお目にかかったのは、夫人の通夜の席だった。生花に統一された葬斎場。病躯を押しての喪主であった▼「わざわざ、ありがとうございます。こんな格好で―」。着座での応対に詫びの言葉をかけられ、恐縮するばかりだったが声には力があり、1カ月後の訃報に信じられない思いがした。有賀さんとのお付き合いは、20年前にさかのぼる▼前任者から営業担当を引き継ぎ、何度となくお会いした。とつとつとした口調ながらも、創業者としての風格や厳しさを感じさせ、そのたび緊張したものだ。ある年の新年会を取材した時、有賀さんが本紙に出稿した全面の年賀広告について触れたことがある▼「うちも厳しい状況だったが、いわき民報に載せた広告で万全だという評価を受けた」。大勢の出席者の中、このあいさつを聞き、担当者冥利に尽きたものだ。今、その温かい言葉を反芻している。