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片隅抄

2011.12.19

東日本大震災で親を失った震災遺児は1500人を超えるという。死別ではなくても、避難生活等で家族がバラバラになった人たちも相当数いるだろう。一方で、震災を機に、離れていた家族が一緒に暮らすようになった例も聞く▼また、住居が被災し解体した人の中には「家はなくなったが、親から受け継いだ土地だけは手離したくない」と語る人も多い。そこには安全・安心の生活環境の確保とは別に、やはり家族や家への深い思いがある▼本紙の連載小説『金の日、銀の月』もそんな家族愛に満ちた作品だ。若き日に息子を交通事故で失った女性が50歳を前に夫に早期退職を促し、夫婦で新天地での生活を始めようとしていた矢先、自らも他界する。今は、姿なき魂となりながら現世に残り、夫の行く末を案じ、その幸せを祈っている▼家族とはそういうものなのだ。日本人誰しもが、社会人、組織人として生きる基盤たるべく家族について考えた1年が今、暮れて行く。

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