いわき海星が甲子園に出場するなんて昨年まで誰が予想しただろうか。負けたら終わりの夏の選手権とは違う、主催者が〝招待〟する春のセンバツならではの選考だった▼全国から有望選手をスカウトし、恵まれた環境の中でチームの強化を図り全国制覇を目指す高校があれば、センバツのように文武両道や地元密着型の高校、豪雪地帯や離島、被災などのハンディを克服した高校もある▼いわき海星は秋季地区大会で2度敗れ、県大会も1勝止まり。だから心ない中傷をする人も実は少なくないのだが、震災で野球ができない絶望感を克服して立ち上がったナイン、そしてそんな彼らを応援する人たちが市内外にどれだけいたか――▼「その恩に報いるため、最後まであきらめない」決意を胸に、選手たちは信じられないプレーをたびたび繰り広げてきた。震災の困難を思えば揚げ足取りの中傷など気にすることもない。甲子園で応援してくれた人たちに元気な姿を見せよう。