一読者に立ち返り小紙を手にした先日、「読者の文芸」欄の妙味にはまった。特に「川柳」作品の魅力はこの上ない▼「川柳とは人生の機微をうたう文学である」とはある作家の弁だが、風刺に品のよいおかしみやほほえましさが加わり、なるほど奥が深い。以来毎夕、気に留めて面を繰るようになった▼そこで目を引いた1句を紹介しよう。7日付にあった「ランドセル夢のサイズは無限大 尋子」。小さな背中に大きなランドセル、元気な1年生の姿が目に浮かぶ。見守る詠者のまなざしも優しい。子どもは地域社会の宝、これは古今東西変わることのない真理といってもいい▼そこで今、日本のそしていわきの大人たちは、子どもたちの未来をひらく役目を果たしているだろうか。運動会シーズンの真っただ中、校庭でひたむきに競技に挑む子どもたち。その姿を追いながら、「この子たちのために何をすべきか」をあらためて考えてみることも必要な時代である。