警察庁がこのほど、昨年1年間の刑法犯罪状況をまとめた。発生件数は、1昨年と比べ6・7%減で、10年連続での減少となった▼同庁は減少に転じた要因として、窃盗犯の大幅減少を挙げる。特に、自動車内から金品を盗む窃盗が02年に比べ75%、自動販売機内の現金を狙った窃盗が90%も減った。未遂を含めた殺人事件は1030件で、4年連続で戦後最少を更新した。その一方で、暴行や傷害などの粗暴犯が8・9%、強制わいせつや公然わいせつなどの風俗犯が9・4%と、1割近く増加したことが心配される▼窃盗が減少した背景には、警察のパトロール活動の強化に加え、地域住民の防犯意識の高まりが犯罪抑止につながったのではと、まとめの中で分析している▼日本の安全神話が崩壊してだいぶたつ。今や田舎でも都会と同じような凶悪事件が起きる時代。地域の安全は住民の手で守る―をモットーに、警察との連携を深め、犯罪のないまちをつくりたいものだ。