5月第2日曜日のあすは「母の日」。子どもから母親にカーネーションや記念品を贈ったり、親子で食事したり、ドライブに出かけるなどして感謝の一日を過ごす家族が多いだろう▼野口英世記念館に、母シカが英世にあてた手紙が展示してある。字を教えてもらいながら書いたという拙い文章の中に、子を思う母の思いが込められている。息子が世界的な医学者になってもなお、〝てんぼう〟と呼ばれたころと同じ愛情を注いでいるのがわかる▼翻ってわが母親を見ると、84歳の今もなお農業に明け暮れ、趣味や娯楽などほとんど知らず生きてきた。この人は何を楽しみに人生を送ってきたのだろうと思うと親不孝の息子としてはせつない▼小学生のときの母の日に、キュウリの種をプレゼントしたのを今も懐かしそうに語るということは、それ以後、ろくな「母の日」をしていないという示唆だろう。体も弱ってきた高齢者だけに感謝の「母の日」を重く受け止めている。