学生時代は3本立て映画館をはしごしたものだが、勤めてからは仕事に追われ、映画館からはめっきり足が遠のいた▼代わって増えたのがレンタル店で借りるビデオ。先日も、『今度は愛妻家』を借りて見た。豊川悦司主演の映画で薬師丸ひろ子がその妻役。数年前に封切られた映画なので、見た方もいるのでは▼昔は有名カメラマンだったが、今は仕事もせずブラブラしている夫。そんな夫を長年支え続ける妻が、ある日交通事故で死んでしまう。それまで勝手気ままに生きてきた男が、妻が亡くなってみて自分がいかに妻を深く愛していたかを知る。しかし、その時はすべてが手遅れ▼先ごろ、サラリーマン川柳が発表され、「いい夫婦 今じゃどうでもいい夫婦」が、人気投票で1位に選ばれた。夫婦のつながりの変化を皮肉った句だが、相手が生きていれば今度もあるが、死んでしまったら永遠に今度はない。そう考えると、どうでもいい夫婦なんてないはずなのだが…。
片隅抄