穏やかな好天に恵まれた第54回「金栗杯」勿来の関マラソン大会。29歳以下の一般男子A15㌔優勝者に贈られる栄光の同杯は、今年も井上寿弥選手(25)が獲得した▼3連覇の偉業を果たした井上選手、鏡石町駅伝チームに所属する自衛官でもある。過去2回もそうだが、レース後の優勝インタビューでは、疲れも見せず記者の質問に誠実に答えてくれた▼先に高校男子10㌔部門がゴールしたが、息も絶え絶えに倒れこむ選手の姿を見て、マラソンの過酷さを痛感。しかし日ごろの練習の賜だろう。呼吸ひとつ乱れていなかった。勝負の決め手は、まさに冠にある「勿来の関」の坂道だったという▼徒歩で行かれた方はご存じと思うが、1㌔以上ある傾斜のきつい難所だ。そこで後輩とのデッドヒートを制した。謙虚に優勝の弁を述べたあとカップを抱え、小走りに去って行った。颯爽とした後ろ姿にすがすがしさを感じながら、何かを教えられたような気がした。