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片隅抄

2011.05.14

 3月の水素爆発に始まり、燃料棒を冷却するためのさまざまな試みがなかなか功を奏さず、空へ海へ地表へ、放射性物質を拡散し続ける福島第一原発。このところ大きく報道されず、小康状態を保っていたかに見えたが、炉心溶融は起きていた▼国民の動揺を抑えようと、炉心溶融の深刻さを隠しながら密かに事態の収束を図ろうとしたが、解決が困難となって事実が表面化してしまったということだろう。こうした国と東電の稚拙な事実隠しが、結局は国民の不安を増幅させることになる▼放射性物質は目に見えず匂わない。毒薬物と違ってすぐ体に異常を来さない。そして国民の多くが放射能について正しい認識を持ちえていない▼だから「原発作業員の家族はいわきを離れて避難している」などといううわさ話を聞くと、中通りの福島市や郡山市より低いいわき市の環境放射能測定値も疑わしいと思えてくる。国や東電は正しい情報を出せ! そう叫ばずにいられない。

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