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片隅抄

2011.05.20

 昭和52年に封切られた映画「人間の証明」。来日した黒人青年の殺人事件をめぐり、戦争の傷跡が複雑にからんだ森村誠一原作のサスペンスだ▼製作は当時の角川春樹事務所。前後に「犬神家の一族」「野性の証明」などを発表、媒体を駆使したメディアミックスと呼ばれる斬新なPR手法で70~80年代の日本映画に新風を巻き起こし、ヒットを飛ばした。その角川映画が35周年という▼「人間の証明」では波立海岸でのロケシーンがあり、平成2年上映の「天と地と」ではいわき市出身の書家金田石城さんがタイトルを揮毫するなど、当市との縁もある。さらに勿来の関公園には、角川書店を創立した源義の句碑が残る▼「ここすぎて蝦夷の青峯ぞ海光る」。震災で閉館していた市勿来関文学歴史館が19日から再開、来月5日には源義はじめ、文人墨客の句碑を巡るイベントも実施する。海を臨む風景とまばゆい新緑は、滅入りがちな気分を変えてくれるだろう。

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