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片隅抄

2011.05.28

 「のど元過ぎれば熱さ忘れる」で、震災直後、あれほど大切にしていた1本のミネラルウオーターや1㍑のガソリン、1個の乾電池、1枚の紙皿のありがたさが薄れてきたように思う▼ガソリンを給油するのに6時間も車内で待機したり、食料を調達するのに早朝6時からスーパーに並んだり、給水所でバケツを持って2時間も待ったりしたのがウソのようだ▼しかし、再開したスポーツ大会の会場や練習場に足を運ぶと、「当たり前にやっていたスポーツが突然できなくなった3月、4月を忘れるな。今あらためてスポーツに取り組める幸せをかみしめよう」という空気が濃密に漂っている▼最初はみんな、「こんな状況の中でスポーツをやっていいのか」と悩んだ。だが、こういうときだからこそ「いわきは元気なんだ」「地震や原発に負けていないんだ」とスポーツを通じてアピールすることができる。選手たちは復興をめざすいわき市の、そんな期待を背負っている。

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