「SQ(ソーシャル・クオーシェント)」という語をご存じか。震災後に変化した日本人の意識や価値観を調査した関西学院大鈴木謙介准教授が提唱した新しい概念だ▼SQとは社会とのかかわりの強さを示す指数で、同名の著書によれば、その度数が高い人ほど幸福感を感じている=他人にかかわって相手のためになることをしている人には幸せな人が多い、そうだ▼そのポイントは、あくまで適切な範囲でというコンセプトのもとの「他者への貢献」「家族・友人にとどまらない広いかかわり」「物ではなく心の重視」「次世代までを考えた行動」だ。ここに関しては、多くのボランティアの善意に触れた被災地の市民として、実感を伴い得心した▼鈴木氏は、このSQ的社会こそ「21世紀の日本人の幸せの形」とする。非常事に際し、日本人の秩序ある行動や、阪神・淡路大震災を機に育ったボランティア精神の評価は高いが、ここにまた、新たな美徳が加わった気がする。