長谷川町子原作『意地悪ばあさん』。ずいぶん昔、青島幸男さんが主人公を務めたテレビ版を見たことがある。そのワンシーン。焚き火の中にある焼き芋を食べたが実はダリアの球根だった▼この2つ、よく似ている。たぶん、誰かに仕返しされたのだろう。その不味そうな表情を妙に覚えている。先日、ある高校から電話があった。「ダリアが咲いたので見に来てほしい」。晩夏に同校のヒマワリを取材した際、校長の言葉を思い出した▼「今度は、こうていダリアが咲いたら知らせます」。校庭に咲くからこの名前なのか、と簡単に考えていたが実際の花を見て少しばかり驚いた。すっくと伸びた草丈は4㍍近くあり、校舎2階に届くほど▼調べてみると「コウテイ(皇帝)ダリア」という。八重咲きの花は、薄紫色で名前の通り威厳と優雅な雰囲気を漂わせていた。訪問日は曇りだったが、冬晴れの空には映えるだろう。6株だが、大事に育ててもらいたい。