少子化に歯止めがかからない。こども手当の支給など、国を挙げて少子化対策に取り組んでいるが、成果が見えてこない▼そんな中、せっかく授かったわが子に暴力を振るい障害を負わせたり、最悪死亡させる事件が後を絶たない。今年に入ってからも親が子どもに暴力を加え、食事を与えないなどの事件があった。親は警察に「しつけ」と話したと言う。子どもへの暴力は程度の差こそあれ昔からあった、ただそこにはわが子への愛情があってのものだった。虐待する親にはその愛情が感じられない▼全国の児童相談所に寄せられる虐待の相談件数は年間数千件にのぼる。しかし、虐待の多くは家庭という密室で行われることが多く、実際はもっと多いと見られる▼虐待する親は、自分自身も虐待を受けたことがあるという話を、専門家から聞いた。「暴力の連鎖」を断ち切るために、子どもが生まれたら行政が中心となって、親としての道を学ぶ機会をつくってはどうか。