癌が、わが国の死因の第1位になったのは1981年から。2010年には35万人余りが癌で亡くなり、その死因割合も今や3人に1人になっているという▼抄子が初めて肉親の死に立ち会ったのは同居の祖父のときで、死因は胃癌だった。本人は気づいていたかわからないが、医師も家族も最後まで祖父には告知しなかった。それは幸せなことだったのだろうか▼自分が、あるいは身近な人が癌になる不幸を誰もが高い確率で抱えている現在にあっては他人事で済まない。癌告知はする方もされる方も大きな問題だ。副作用が懸念される抗癌剤の使用も、余命をどう生きるかによって重大な選択になる▼癌患者本人や家族、癌で家族を失った人たちなどが集まり、互いに腹を割って話し合おうという会が先月から四倉で始まった。「がん哲学カフェ」という。小人数の集会だが、他人に相談できず癌の問題で悩む人たちが心癒やす情報交換の場(カフェ)になってほしい。