先の総選挙で、政局が大きく振幅した日本。時を同じくして、お隣韓国では大統領選が行われた。当選した朴槿恵候補は、軍事クーデターで政権を掌握した朴正煕元大統領の長女という▼65年に結ばれた日韓基本条約。当時、経済力で北朝鮮に水をあけられていた韓国では、この国交正常化を機に発展を遂げた。ただ、戒厳令が敷かれていた国だけにネガティブな記憶がある▼73~74年にかけ、来日中の野党要人を諜報機関が拉致し本国に連れ去った事件、朴大統領暗殺をもくろんだ「文世光」狙撃事件、さらに後年には、側近に射殺された同大統領のことが生々しく思い出される▼時は移り、日本では韓流ブームが起きソフトイメージが定着したものの、竹島問題の再燃で両国間には険悪な空気が流れたままになっている。国内世論を背にした日韓の新リーダー。互いに譲歩できない部分もあろうが、蛮行を続ける独裁者がいる限り隣国同士の協調が不可欠だ。
片隅抄