市内の子育てサークルの方から、1冊の冊子を頂いた。タイトルは「ココロのたすき」▼新潟県中越地震での被災体験を持つ同県長岡市の母親たちの団体と、原発事故で長岡に子を連れ避難した福島県からの母親たちがプロジェクトを組んで作った記録集だ。福島からの避難者の「選択」の軌跡がまとめられている▼それによれば今、長岡市には福島県から約450人、うちいわきからは43人が避難している。そうした人々のうち、子育て中の母親たちの2年間が切実な言葉でつづられている。子のために選んだ道ながら、ある体験談では「いわきに残った友達に、放射能が心配だと言えずつらい」など、他者との確執への不安も吐露されている▼そうした中で全体を貫いているのは「親としての覚悟」にほかならない。なぜ故郷福島を離れたのか―その思いを皆へつなげるのが、この「たすき」。いわき市立各図書館へも贈られ、今月中旬には貸し出しも可能になりそうだ。