本社に数多く寄せられる展覧会、イベントなどのPR資料。その1つに仙台市博物館で4日から開催の「奈良・国宝 室生寺の仏たち」が目についた。サブタイトルは東日本大震災復興祈念特別展▼これまで3度、同寺を訪れているだけに内容を確認した。平安時代の作とされる国宝「十一面観音菩薩立像」「釈迦如来座像」をはじめ寺所蔵の至宝が一堂に会するという。仙台市なら現地の奈良県宇陀市に足を運ばなくともよい▼ただ、境内にひっそりとたたずむ「五重の塔」は出向かなければ見ることはできない。写真家土門拳が終生、被写体としてレンズを向けたことでも知られているが、現在の塔は16年前の台風で被災し、修復されている▼伊勢湾台風、阪神・淡路大震災など大きな自然災害に見舞われた関西地区。同展では同じ痛みを分かち合うため、拝観の目玉を約2カ月貸し出す。震災で打ちひしがれた東北に祈りが届き、精神の復興につながればと願う。