5月の代名詞は何と言っても「ゴールデンウイーク」。また、そのワクワク感とは縁遠い存在の「五月病」と言うものもある▼いつの頃から言われ始めたのか不明だが、バブル期の頃、盛んに使われた言葉だ。「病」と言う文字が使われているが、正式な病名ではなく、「適応障害」の俗称。入学や入社など、意気揚々として新しい世界に入ってきたが、現実とのギャップや対人関係の疲れなどの結果、5月頃から無気力状態に陥るというもの▼ゆとり教育以前の詰め込み教育での受験戦争、イケイケどんどんのバブル社会。そんな時代背景が原因になっていたに違いない。言い換えれば、目先の事ばかり追いかけていたことへの反動だし、警鐘だったのかもしれない▼「お一人様」などと言う言葉がはやり始めた昨今、ますます、対人関係を築くのが苦手な人が増えている。ネット社会が招いた弊害とも言えるが、コミュニケーションの基本は「会話」だという原点に戻る必要がある。
片隅抄