国会議事堂周辺で連日続いたデモをよそに、きょう未明の参院本会議で安全保障関連法が成立した▼この法律は「国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要」だと安倍首相。自衛隊の役割が大きく変わることで日本は戦争に向かうのか、それとも国際的な緊張関係のなかでわが国を守るこれまで以上の武器となるのか、不安は計り知れない▼与党などの賛成多数で成立したのだが、衆議院の吉野正芳、参議院の岩城光英、森雅子という自民党所属の議員たちも賛成に回ったのだろうか▼本当は反対なのだが、党の議員として賛成に回らずにいられなかったというのでは、彼らを選んだ有権者として納得しにくい部分が残る。国の進路が大きく転換するときだからこそ「自分はこういう意見だ」というわかりやすい説明が欲しかった。安倍さんがそういうので賛成せざるを得なかったでは、選挙の重みが問われる。1人の議員がただの「自民党1票」にならないように願う。
片隅抄